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鬘帯


かずらおび

能の女役の仮髪の上から鉢巻のように締める細長い帯のこと。額に当てた鬘帯を後頭部に回し、結んで背中に垂らす。若い女性の役には「色入/紅入(いろいり)」という紅色が使われたものを、中年以降の女性の役には「色無/紅無(いろなし)」という紅色が入らないものを用いる。植物の模様が表わされることが多いが、鬼女の役には三角形を連続させた「鱗模様」も用いられる。金銀箔を糊で貼りつけて模様を出す「摺箔」と、精緻な「日本刺繍」の技法が駆使され、絹の生地全面に金箔を張り詰めた「胴箔地」という非常に豪奢なものもある。鬘帯の特殊な用途として、能「楊貴妃」に小書(特殊演出)「玉簾」がついた場合、宮殿を表す作り物から鬘帯を多数垂れ下げて御簾に見立てた華やかなものがある。

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