やまぶし
狂言の登場人物のひとり。山岳で修行して超自然的な力を持つとされる山伏は、狂言が生まれた中世に活躍し人々の畏怖の対象であった。また、仏道を修行する僧侶は知識階級でもあり帰依尊崇されていた。しかし狂言は、どのような地位・職業の人であれ欲もあれば失敗もする「所詮は人間」として描き出しており、それがおかしさや笑いに繋がっている。山伏が登場する「山伏物」には「蝸牛(かぎゅう)」「腰祈(こしいのり)」「梟山伏(ふくろうやまぶし)」などがあり、僧侶が登場する「出家物」には「宗論(しゅうろん)」「名取川(なとりがわ)」「薩摩守(さつまのかみ)」などがある。