めん
能・狂言で用いる仮面のこと。「おもて」または「めん」と呼ばれ、「おめん」とはいわない。能は面をかける役が多いが、役柄に応じた能面の種類は200を超えるという。一方、能に比べて面を用いることの少ない狂言の面は20種類ほどである。面は登場人物の顔そのものであり、使われる面によって演技・演出も変化するほど重要なものである。舞台で用いる道具の一種だが、能・狂言の家では代々受け継がれるものとして尊崇の対象である。面をめぐってはさまざまな特殊用語があり、演者が面をつけることを「面をかける」「面をつける」などというほか、面を制作することを「面打(めんうち)」または「面を打つ」、制作する人のことを「面打師」と呼ぶ。