じょはきゅう
能・狂言の演出理論のひとつで、構成・演出・速度などを3段階に分けた考え方。雅楽にある語を取り入れたと言われ、能の大成期にはすでに用いられていた。序は導入の静かな部分、破は中心となる展開部、急は終局に向けた部分というように分けられている。例えば演者の舞については、舞始めの序の部分はゆっくりと静かに、中盤の破の部分はやや運んで軽やかに、終盤の急の部分はもたつかずに乗り良くといった具合である。また、謡の位や、橋掛リを歩く運びの速度なども序破急の考え方に従い、徐々に速くすることが原則となっている。更には、一日の番組構成にもこの考え方が影響しているなど、「序破急」は能楽の世界に広く浸透している。