しゅうげん
一日の演能の最後に演じられる祝意を込めた能のこと。「祝言能」ともいい、正式な上演形式である「翁付五番立」では、切能のあとに脇能(「岩船」「金札」など)の後半が演じられる(切能が「猩々」や「石橋」など祝言曲の場合は演じない)。祝言能が省略されるときは、最後の能が終わって退場する直前の地謡が祝言能の一節を謡う。これを「付祝言」という。また、能・狂言が重要視していることに「物事を祝うこと」、即ち「祝言」がある。たとえば、五番立の冒頭は祝言の能・脇能であり、世阿弥も謡について「祝言」の言葉を用いている。このように、「祝言」は能・狂言という芸能に密着した言葉となっている。