でんがく
古来、田植えに際して行われた囃子や歌などのこと。田の神を祭って豊穣を願った民俗行事であったが、平安時代半ばころには芸能として発達した。また、鎌倉時代から室町時代に流行した寺社の奉納芸能に「田楽躍(でんがくおどり)」があり、これも「田楽」と呼ばれた。田楽躍は楽器を打って華やかに躍るもので、奈良時代に唐から伝わった散楽系の曲芸的なものや滑稽味のある芸なども演じられ、多くの曲目があったという。鎌倉時代半ばになると、田楽と猿楽は競って能を演じるなど関係が深く、互いに大きな影響を与えたとみられる。室町時代半ば以降、田楽は大和猿楽の隆盛に押されて衰退したが、現在も各地に民俗芸能として伝承されている。