かいこ/かいこう
脇能の冒頭で登場したワキが、最初に能の筋とは無関係に当世を称えた謡を謡うこと。江戸幕府や禁裏、本願寺など、公儀での能で多く演じられた。詞章はその都度、幕府の学者や公家らによって作られ、演じる本人が節をつけたという。声を出して稽古をすることが許されず、難解な詞章を書いて覚えなければならないこともあった。舞台で誤った際は罰せられるなどさまざまな重圧のかかる大役で、ワキ方の最も重い習い物であったが、無事に勤めた後には書き溜めた紙を祝儀として配ることもあった。現代ではほとんど演じられない。