がくや
能舞台の裏側にある部屋で、演者が準備を行う場所のこと。十数畳の和室を繋げて楽屋とすることが多く、各部屋はシテ方・ワキ方・狂言方・囃子方それぞれに割り当てる。原則的に個人の部屋はなく、襖は開け放たれて各部屋の様子がわかるようになっている。部屋には湯茶が備えられ、立方の部屋には装束や小道具を置く棚があり、囃子方の部屋には大鼓の革を焙じるための炭火が熾されている。鏡の間に最も近い部屋は「装束之間」と呼ぶことが多く、中入で装束を変えるシテ方が使うことが多い。また、楽屋の一隅には作り物を作るためのスペースがあり、竹の骨組みなどの材料が備えられている。楽屋は極めて整然として、演者の年齢や立場に応じて座る位置も自ずから定まっている。