えんめいかじゃ
「能にして能に非ず」と言われる神事・祈祷曲「式三番(翁)」で、「父尉」とともに登場する若者のこと。父尉の子であると言われる。「父尉」は「式三番」のなかで、「翁」「三番叟(三番三)」とともに演じられる老体の神の演目だが、室町時代初期ごろから省略されるようになった。このため、「延命冠者」を舞台で観る機会も稀である。現在では、「式三番(翁)」を「父尉延命冠者」の演式で演じる場合にのみ舞台に登場する。また、延命冠者が用いる面も同じ名称で呼び、福相の若者の相貌である。なお、能「鷺」は、元服前の少年か還暦を過ぎた者のみが直面で演じるが、例外的に青年~中年の演者が「延命冠者」をかけて演じることがある。