つくりもの
能・狂言で、舞台に出し置かれる装置のこと。上演ごとに作って舞台に持ち出すことから「作り物」という。山や塚、宮殿、小屋、鳥居、釣鐘、井戸、舟、車など様々なものがあるが、いずれも竹で骨組を作って白布で巻いた簡素なもので、能・狂言の演出と能舞台の空間に合致したものである。紅地もしくは青地の細幅の布を巻いて装飾したり、紺や紫の緞子(絹織物)で覆ったりすることもある。作り物の中で最大のものは能「道成寺」に使われる鐘の作り物で、役者一人が入る大きさの鐘の骨組を竹で作り、鐘の縁に鉛を入れて相当重く作る。内部には後シテの蛇体に変身するための面や装束などが仕込まれている。