しきがく
貴族や武家などの儀式に用いられる芸能のこと。平安時代の宮廷における雅楽や、寺社の行事における音楽なども式楽に含まれるが、江戸幕府が猿楽(能楽)を式楽と定めたことから、式楽と言えば猿楽をさすことが多い。現在の観世流、宝生流、金春流、金剛流に繋がる大和申楽四座は江戸幕府に召し抱えられ、その後、徳川二代将軍秀忠の時代に一流樹立を認められた喜多流がこれに加わって扶持を与えられるようになった。四座一流の演者たちは幕府の行事で能を演じることを命ぜられ、正確な伝承が厳しく要求された。各大名家でも弟子筋の演者を扶持したため、猿楽は式楽として江戸時代を通して繁栄した。