かきょう
能の伝書。一巻。能を大成したとされる世阿弥(1363[貞治2]年~1443[嘉吉3]年)が、父・観阿弥と死別して約20年が経った40歳頃から60歳頃までに体得した芸論を集大成したもの。当初は『花習』とされていたが、その後『花鏡』として1424(応永31)年までに段階的に成立、息子の元雅(1432[永享4]年没)に伝えられた。内容は、発声についての「一調二機三声(いっちょうにきさんせい)」、物真似の教えや身体の使い方などの演技論、演出や稽古、芸位など幅広く論が展開する。一般にも良く知られる「初心忘るべからず」「離見の見(りけんのけん)」の言葉も記され高く評価されている。